映画『サラエボの花』 同性のまなざしが優しい 小松久子 杉並区議会議員
活動報告バックナンバー バックナンバー一覧 ホーム

印刷用ページ 印刷用 (別ページで開きます) 戻る戻る   進む進む
2008 年 2 月 11 日     カテゴリ:映画・オペラ・おたのしみ
映画『サラエボの花』 同性のまなざしが優しい
〜母と娘の再出発〜
岩波ホールの観客は、中高年の女性がほとんどでした。私もそうだったのですがたぶん多くが、これがどういう映画なのか、主人公のシングルマザーの暗い過去についてすでに知ったうえで映画を見に来ていたと思います。

冒頭シーンは広い居間のような室内での、女性数十人の悲しそうな顔のアップ。それは、同じ体験者たちのカウンセリングの場だとあとになってわかります。ボスニア・ヘルツェゴヴィナの、紛争後10年くらいたったころ。

12歳の娘は、クラスの男子と取っ組み合いのけんかをするほど元気のいい、活発で利発な少女。父親がボスニア紛争で戦って死んだ「シャヒード(殉教者)」ということに誇りをもっています。シャヒードは英雄なのです。

母親は、昼は自宅でミシンを踏み、夜はナイトクラブで働いて娘との生活を支えていますが、娘の修学旅行の費用が払えないほどの貧しさ。夫がシャヒードだと証明する書類があれば旅費は免除されるのに、なぜか手続きをしない。

そのことと、過去に受けたショックがときおりよみがえり、ひとりでじっと耐えるしかないことが関係あるらしいことが暗示されます。混んだバスのなかで間近に立った男性の胸毛が目の前に迫り、逃げるようにバスから降りる場面もそう。

そしてついに、問い詰められて忌まわしい過去の秘密を娘にぶちまけるときがきて、誇りとアイデンティティーをずたずたにされた少女が髪をそり落としてしまったとき、恐ろしい行動に出るのではないかと想像してしまいました。

でも、胎内に宿ったのを呪っていた子が「世界中で一番美しいもの」と思えるような感動を運んで生まれてきたことをセラピストに告白したのち、映画は丸坊主になった少女が旅行に出発する場面を映し、母と娘の希望を見せて終ります。

大写しの多いカメラワークは監督が女性だからこそ、母親の心象に寄り添っていることの表れなのでしょう。同性のまなざしが優しい作品でした。



映画・オペラ・おたのしみ 最新20
519 山本さくらさんモーツァルトを演じる
428 『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』をみる
318 『歌わせたい男たち』と「歌わない男」、強制の不条理
32 歌は人を幸せにする、というメッセージ「歓喜の歌」
211 映画『サラエボの花』 同性のまなざしが優しい
17 『パンズ・ラビリンス』と『迷子の警察音楽隊』
1218 40年前の時代劇映画『上意討ち』を見直す
102 満月の日に産まれた孫 女の子です
97 さよならルチアーノ 輝かしい歌声よ
813 ドミンゴ様に会えて幸せ♪
66 『パッチギ!L&P』 真面目おかしい暴力と反骨の映画
515 日本語に字幕のある映画『バベル』
115 硫黄島の手紙をブッシュ氏はどう見るのだろう
1225 イブの選挙と山本さくらさん
918 日常会話が反戦を描き出す 映画『紙屋悦子の青春』
819 モーツァルトを弾いた2人のピアニスト
612 旅が父子を成長させる 映画『家の鍵』
521 西荻薪能 at 井草八幡宮 in 善福寺
427 『蟻の兵隊』 元初年兵の終わらない戦後
422 宇田川のり子さんに習う似顔絵の極意
211 チルチルに誘われて 劇団仲間に再会

バックナンバー一覧へ 一覧へ戻る ホームへ ホームへ戻る 戻る戻る   進む進む
当サイトの著作権は小松久子 杉並区議会議員 にあります。