『蟻の兵隊』 元初年兵の終わらない戦後 小松久子 杉並区議会議員
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2006 年 4 月 27 日     カテゴリ:映画・オペラ・おたのしみ
『蟻の兵隊』 元初年兵の終わらない戦後
〜「愛国心」強制されるいまこそ見たい映画〜
つい先日、死んだと思われていた元日本兵がウクライナで生存していたとわかって63年ぶりに日本に一時帰国したというニュースが報道され、この国の戦後がまだ終わっていないことをあらためて思い起こさせました。

『蟻の兵隊』は、第2次大戦後も中国に残留「させられ」、そこでの内戦を日本軍として戦わ「された」元初年兵の、80歳の今なお終わらない戦後を描くドキュメンタリー映画です。残留の真相を追究して日本という国を相手に闘う奥村和一さんは、自身がかつて大陸で犯した罪に向き合うことにもなります。

他の元残留兵らと国の戦後補償を求めて提訴しますが、「自らの意志で残留し勝手に戦争を続けた」とする国に敗れ、控訴中です。体内にいくつもの砲弾の破片をもつ身で、国の責任を証明する文書を探し、また当時の真実を語ってくれる証人を求めて中国にまで旅を重ねる姿をカメラは追います。

戦後60年が経過し、ある証人は高齢で寝たきり、「慰安婦」にさせられた過去を語る中国女性の顔にはしわが刻まれていますが、強い意志に裏づけされた奥村さんの行動は精力的です。日本軍の犯罪を明らかにするよう証言を求めて自宅に押しかけてきた奥村さんに「もう60年も昔のことだから」と言葉を濁して語らない元軍人。語らないことが「語っている」ことを示す場面です。

靖国神社で「侵略戦争を美化するんですか」と講演者を呼び止めた奥村さんのまっすぐなまなざしには、悲しみが静かに宿っています。靖国参拝をかたくなに続ける小泉首相にこれを正面から受け止めることはできないでしょう。

池谷薫監督は「戦争がひとりの人生に取り付く」ことを考えたと言います。私は教育基本法「改正」により「愛国心」強制が進められようとするいま、この映画が上映される意味は大きいと思います。7月下旬より一般公開されます。ぜひ多くの人が奥村さんに出会い、「国」「戦争」について考えてほしいです。

『蟻の兵隊』ウェブサイトはここ→ http://www.arinoheitai.com/index.html





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